判例・本文

2016年2月25日 木曜日

OEM契約と商標権侵害

 OEM加工品が全部輸出される場合に商標権侵害を否定した判決   
  (2009)沪高民三(知)終字第65号 2009年11月2日、
 上海市高級人民法院は上海市申達音響電子有限公司(原告X)と玖丽得电子有限公司(被告Y)の商標権侵害事件で、終審判決を言渡し、第一審上海市第一中級人民法院がYがOEM委託加工(定牌加工)で全品輸出し、Xの登録商標を使用した行為が商標権侵害を構成しないとした判決を維持した。
1 事案   Xは1998年3月28日に「Jolida及び図」の結合商標(登録番号1163193号)、指定商品第9類、拡大器、ラジオ、DVDプレーヤー。更新登録により有効期間は2018年3月27日。Xは当該商標を税関に登録した。2008年8月、Xは上海税関から知的財産権侵害確認通知書を受け取り、Yが米国に電子管効率拡大器98台(代金18,800米ドル)に「Jolida及び図形」商標を使用して輸出することを確認した。Xは税関に差押を申請した。2009年2月、上海税関は当該貨物がXの登録商標権を侵害するかを認定できないとの知的財産権侵害嫌疑認定通知書を出した。Xは上海市中級法院に提訴し、商標の使用差止めと損害賠償を請求した。
 Yは、XとYはともに米国朱利達電子有限公司(C社)が投資して設立したもので、米国の親会社C社は以前から米国で当該商標を登録していた。Yが行なったOEM加工輸出は、C社と貨物注文契約をし、米国商標権の合法的使用許諾を受けており、商標権侵害と認定すべきではないと主張した。
 Yは、輸出貨物の外包装に「JOLIDA INC TEL0013019532014 MADE IN CHINA」及び製品番号等の標識を貼った。
Yは、製品及び内包装に使用した商標は、米国C社が米国で登録した商標と「JOLIDA」文字商標と同じであり、「Jolida」文字商標はXの図形文字結合商標の文字と同じで、主たる相違は英語文字の大小にある。

2.第1審上海市第一中級人民法院は、下記のとおり認定した。
 (1) 商標権の状況からみて、Xの中国での登録商標権の前に、C社がすでに米国で「Jolida」の文字+図形の商標を登録していた。
(2)  XとYは、共にC社が投資して設立したもので、C社が1997年にXの株式をD社に売却し、主体が変更され、XとC社がとの投資関係がなくなった。その後、2007年にC社がY社を設立した。Xの商標の文字部分は米国C社の英語文字の中の屋号と同じである。
(3)  Yの提出した契約書、Yの侵害品の内外包装上の標記はC社の企業名称等を総合考慮し、Yが使用した商標は、C社が米国で享有する合法的な商標であり、かつ、商品は全部米国に輸出されるもので、Yの行為はOEM加工輸出行為に属する。
(4)  Yが製品の内外包装上に標記した商標及び企業名称はC社を表し、製品は全部輸出され、中国で実際には販売されず、中国の消費者が当該商品の出所に対する誤認混同の可能性はない。
  以上を総合して、本件の関連企業の内部の投資関係が変化し、企業間に異なる国家法域内で各自が独立して原関連企業の商標権を享有している。
 OEM加工行為は商標を付した製品全部が米国に輸出され、関係するのは米国市場及び消費者であり、中国市場内には販売されず、消費者は当該製品について誤認混同する可能性は発生しない。
 従って、Yの行為は商標権侵害を構成せず、Xの訴訟上の請求を棄却する。

3.上訴審法院は、原判決がYの行為をOEM加工と認定したことに同意し、更に一歩を進めて、商標の基本的機能は商品又は役務の出所識別機能であり、商標権侵害の本質は商標の識別機能を破壊し、一般消費者の商品の出所に対して誤認混同を起こさせることである。
 本件で、Yが米国C社の委託を受けてOEM加工を行なった製品は、全て米国へ輸出され、中国国内で販売されず、中国の関係公衆は国内で当該商品に触れる可能性はなく、国内の関連公衆に誤認混同を生じさせない。また、OEM加工関係において、国内加工の製品に商標を付す行為は形式的には実施といえども、実質的には商標真正の使用者は国外の委託者である。
本商品に付す商標は中国国外でのみ商品出所識別させる意義があり、国内市場には商品出所の識別機能を発揮しない。
故に、第一審法院の判断は不当ではない。


投稿者 共栄法律事務所

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